乾杯 #2

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「リン! ずっとこんなとこで待ってたのか? 寒かっただろ? とにかく乗れよ」 『久しぶり』の挨拶もなく、 健吾くんは助手席のドアを開けて、私を慌てて車に促した。 「てか、もっと風の当たらないとこにいろよ。風邪引いたら俺のせいじゃん」 運転席に乗り込んだ健吾くんが車内の暖房を強めた。 「見ろよ。待合室はストーブあるだろ?」 健吾くんは待合室の中を覗き込みながら言った。 「そっか……。あそこで待ってればよかったんだ」 「そっかって、なんだよそれ。相変わらずの天然だな」 「ち、違うよ。私の天然は治ったんだから」 高校生の頃と変わってないなんて、言われたくない。
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