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駐車場に車を止めて、行き先を車内で相談した。
健吾くんは寒くないようにエンジンをつけたままにしてくれた。
行先はひと駅先にある小さなレストランバーに決めた。
由奈と何度か言ったことのある店で、
ポップな雰囲気の店だが、料理が美味しい。
あまり落ち着いた店だと、
余計に緊張してしまいそうだった。
健吾くんは遅くなってしまったことと、私の冷えた身体を心配して、タクシーで行こうと言った。
しかし、私は一つ提案した。
「まだ電車あるし、電車で行かない?」
「タクシーの方が歩かなくていいじゃん。寒いだろ?」
「いいの。電車も歩くのも」
「……変なヤツ。いいよ。行こう。その代り、帰りはタクシーな」
「うん、了解」
私たちは電車に乗った。
ここから一駅。
私が通学した道のりだ。
空いている車内で隣り合って座り、楽し気に会話を交わす私たちは、
周りから見れば普通の恋人たちに見えるだろう。
本当は5年ぶりに会い、
ものすごく緊張してる。
そんなことはきっと周りの人間からは想像もできないだろう。
自分でも驚くほど自然に会話ができていた。
真っ黒な窓には冬の街並みではなく、
5年ぶりに再会した
二人の笑顔が映っていた。
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