乾杯 #2

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先に届いた飲み物を引き寄せると、 リラックスし始めていた胸の中に、かすかな緊張が走った。 グラスを手に、この時初めてじっくりと視線を合わせた。 「乾杯」 健吾くんが私のグラスに自分のグラスを小さくぶつけた。 「……乾杯」 健吾くんの目から、目を逸らせなかった。 彼も最初の一口を飲み終えるまで、 私から目を離さなかった。 一口だけ含んだウーロンハイは それほど強いお酒でもないのに、 喉を焦がして 胸の奥に熱を生んだ。
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