乾杯 #2

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「リン、相変わらずビールダメなの?」 「うん、苦手。だって、苦いもん……」 「リンは子供だな。苦いのがウマいんじゃん」 健吾くんは笑ってビールを流し込んだ。 『リンは子供だな』 大人になった私を見て欲し欲しかったのに、完全な子供扱い。 だけど実際に健吾くんに言われた後では、 私の頭をくしゃくしゃって撫でるみたいに心地よくて、 もう子供でもいいやって……思っていた。 二人ともお腹が空いていて、 パスタとリゾットが届くと飛びついていた。 「健吾くん……口」 健吾くんの口の端にミートソースが付いていた。 「健吾くんだって子供じゃん」 「うわ、リンに言われたくねえ」 健吾くんは笑いながら私を睨み、 紙ナフキンで口元を雑に拭った。 もうずいぶん長い間会っていなかったなんて 誰が信じるだろう。 会えなかった年月を埋めるという作業は 私たちには必要なかった。 埋める溝も、穴も どこにもないみたいだった。
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