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結局、自分でお弁当箱を拾って屋上に向かいました。まったくぅ……あたくしがいくら高嶺の花だからって、皆さん気後れしすぎですわ。もっと普通の人間として、ライトにフレンドリーに接してくださってもよくてよ?
気を取り直してランチタイムよ。暖かなお昼の日差し降り注ぐ屋上では、女生徒達が和気あいあいと談笑してお弁当をパクついていました。どれ、そこにあたくしが入っていって、ごきげんようって感じで自然に混ざ……
うーわ皆さん一斉に引いていきますわ。
「きゃ~落合様、今日もパッツン姫カット決まってる」
敬われて……るんですよね?
じゃあ、髪をダシに話しかけてよ。一度でいいから、『どんなシャンプー使ってるの?』って聞かれたいわ。
集団のど真ん中にポッカリ空いた穴の中心で、重箱を開け、お弁当を貪るあたくし。なんです? この空気?
「お食事なさるお姿が侵しがたい儀式のようだわ」
お腹すいたから食べてるだけ!
「あの物憂げな瞳!
一体どれだけご高尚な思考を巡らせておいでなの? 争いをやめない人類の未来を、憂いておられるとか?」
普通にお喋りしてオカズ分け合ったりしたいの!
はっ!
チャーンス!
ちょうどあたくしが座るベンチの後ろのスペースに、背中向けてひとりでご飯食べてる地味メガネっ娘がいるじゃない。こっちの存在に気づいてないみたいだし……もうこの子でもいいわ! 一緒にキャッキャウフフを!
「あの……あなた、よかったらご一緒に……」
肩に触れて、振り向かせましたわ!
「へ? わたす? って……あなた様は! うぅっ!」
わーっ! 急に鼻血吹いてブッ倒れたーっ!
「落合様からお誘いいただくという、分不相応な幸せに耐えきれず失神したわ! 見て、あの満たされた顔!」
なにそれ怖! 話しかけただけだよ私!
「いいえ! これは報いよ!
落合様が呼吸なさっている神聖な領域の空気を俗世の二酸化炭素で汚したために、お怒りに触れたんだわ!」
飛躍しすぎィ! お前ら頭おかしいよ!
「私達も退散よ!」
「恐れ多い恐れ多いっ!!」
生徒集団はあっという間に逃げ去りました。気絶していた子も、意識を取り戻すなりダッシュで消えました。
屋上に取り残されたあたくしは、天に叫びます。
「さみしくなんかないですわー!
あたくしは、孤高のパーフェクト人間ですもの~!」
オチ合☆
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