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「ん……」
瞼を貫く程強い光に目を覚ました。
起きたばかりで、覚醒していない頭でもわかる。ここが、自分の部屋ではないどこかであるという事実。
重たい目を擦って、ぼやけた世界を眺めると、背の高い花が多く咲いている。
時折吹く、暖かな風に頭を揺らし、大きな太陽に見守られている花々を近くで見ようと、「まだ寝ていたい」と訴える頭に命令を下し、立ち上がった。
「よいしょっと……」
周りを囲む花たちは、思ったよりも背がずっと高くて、自分の頭よりも遥か上にある。
このままでは見えない。
そう思って、徐に近くに咲く1輪に手を伸ばし、腰を折らせる。
何の花かは分からないが、壺の様な形で、先がつぼまった花弁が特徴的だった。色味は毒々しく、日本では見ない花だ。
そんな、呑気なことを考えていると、パクッと効果音が聞こえてきそうな勢いで、目の前の花は、俺の頭を頬張った。
「待って待って待って! 痛い!!」
何とか抜こうと試みるも、抜ける気配はない。
次第に引っ張られるような感覚を持ち、花に引かれるがまま、歩き出した。
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