さよならの理由

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風の音かもしれない。波の音かもしれない。  太かった方の木は、昔は青々と茂っていたはずの、乾燥して死んだ枝先を海面から出したまま、そうして、待っている。 気が遠くなるような太古の昔からの時間を一緒に過ごした仲間たちの記憶を何度も何度も何度も辿りながら…。  こうなった理由は、誰も知らない。木は知ろうともしない。 ただ、ヒトが足を踏み入れたことも無い小さな島は、それを受け入れるだけだ。
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