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瞬は、指の腹をかみ、そこからしたたる血を少年の傷口にたらした。すると、少年は息をふきかえし、上半身をおこすと、目をうつろにひらいたままおもむろにたちあがり、そのままいずこかへ走り去っていった。
「何と…神のみわざか…!?瞬どの、あなたは一体何者なのですか」
ことのてんまつに驚愕した紫翠が言う。
「わかりません…人間だと思いたいのですが…」
「しかし、その力、生かしてみませぬか?」
「え?」
「あなたの力は、人を死の恐怖から救えるかもしれない。ぜひ、その力をみなのために使ってくれませぬか」
紫翠が畳みかけるように言うので、瞬は、その勢いにのまれる形で首をたてにふった。
真が、瞬を泊めてやりたいんだと紫翠に進言すると、二つ返事で許可してくれ、瞬は真と紫翠につれられて国州邸に入った。
そこで、すすめられるまま風呂に入った。もちろん、真ももれなく入ってきた。
「風呂での遊びも知らんだろうから教えてや…」
言いかけて、真は顔を強張らせて固まってしまった。
「どうしたの?真?」
「おま…言えよ…!つか勘違いすんなよな、知らなかったんだから」
「何が?」
瞬がきょとんとした顔で問う。
「お前、女だったのか?胸がねえし、筋肉質だったから男だとばかり…」
「女?男?それ、何?」
「うそだろ…親からそういう教育受けてねえのか?俺達は、違う種類の人間だってことだよ。俺は男、お前は女…だよな?」
そういって真は、瞬の胸としりのあたりを交互にみる。
「女らしさでてもいい歳だろ、お前?その胸なしずん胴…やっぱ問題ありかもしんねえな、お前…。つか、いくつだ、お前」
「わかんない」
「はあ?まあ、それはいい。とにかく俺はでてくから、ゆっくり入ってこい。はだかみられたからもらってくれとか、なしな!」
「え…?一緒に遊ぼうよ!」
瞬の言葉を背に、真は顔を紅潮させながら、ぬぎすてた服をきなおして自分の部屋にもどっていった。
「何が違うっていうんだよ…」
そうつぶやいて、瞬は湯舟に身をうずめた。
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