第一話 運命

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第一話 運命

「んぅ……?」  目が覚めるとそこは、……ここはどこだろう?真っ白な天井と窓の無い壁。隅に置かれた小さなベッド。その横の段ボールの山。頑丈そうで大きな扉。  そして、壁に鎖でつながれた私の右手の手錠。 「……って、手錠!?」  部屋の異質な雰囲気よりもまず手錠に驚いた。それもそのはず、生まれてこの方本物の手錠なんて初めて見たからだ。漫画ならともかく。  そしてそのまま右に目をやると、この部屋で唯一安心できる物を発見した。人だ。しかも女性。  彼女は眠っていたが、同じく左手を手錠で繋がれていた。女子高生だろうか?かく言う私も花の女子高生なのだが、私と比べるまでもなく彼女は、とても美しかった。  ふわふわの黒髪、整った綺麗な寝顔、上品そうな可愛い制服、これらを見ただけで彼女がお嬢様であり、環境に恵まれて不自由ない生活を送ってきたのだろうなと想像できた。いや、失礼か。人をすぐ見た目で判断するのは私の悪い癖だ。  と、彼女の胸元にピンで名札が付いているのが見えた。 「みなみ……ゆめの?」 「はぁい……?」  文字を読み上げると、彼女が返事した。眠そうな顔をこちらへ向けて、吸い込まれそうな瞳で私を見る。     
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