霊園でSF著者の話をすると殺人現場

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「御父さんの御父さんの実家が奈良県なの」 「御爺さんでいいでしょうに」 「それで貴方の名前は?」 「神奈川県の奈に初心の初に之繞(しんにょう)の之で奈初之」 「貴方の奈も神奈川県にしっかり思い入れてるじゃない」 「生憎だが、神奈川県に親類はいない」 「つまり、『エセ』神奈川県民ね」 「どうしてそうなる!?」 「私はしっかり奈良県民だから」 「あんたの御爺さん住んでるだけだろ。ここ奈良県じゃないし」 「え? 親類がいるだけで県民になるんじゃないの? 私も『エセ』なのっ!? 貴方と同じ......?」 「どんな民なんだよ! 日本人は県が変わっても人は変わらないから!」 「私、四十七都道府県の内二十に親類がいるから私は『one half×10』なのね! って友人に豪語していたのに!」 阿呆だ。というか馬鹿だ。その前に『二十分の一』を英語にしたいなら『one twentieth』だろうに。もうなんというか馬と鹿の結び合いだ。 「友人は何と?」 「なら、私は八人だから『one half×4』だねって」 「そりゃあれだよ。話合わせていてくれたんだよ」 「ちっ、夢子ちゃんめ。後で金縛りに掛けておこっと」 「前向きだな......」     
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