霊園でSF著者の話をすると殺人現場

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「あ? 警察官様が何、救急に口出してんの? 挑発ですか? 仇討ちでもしますか?」と好印象に見える青年救急隊員。 「う、うぜぇ疑問文の使い手だな。いいか? 警察官は人を救うだけではなく人を裁くのだ。正当な罰を与えて反省させる。救急隊員は人を救うだけの能筋だろ?」 「裁くって、それは裁判所の御仕事じゃないんですか? 貴方達は逮捕してるだけじゃないんですか?」 「疑問文を疑問文で返すなって親に教わらなかったのかあ!」 「双方、仕事内での私語は慎め!!」 「「は、はい!!」」 すげー。勇ましい上司だ。 「あの人格好いいな───」 「あれ?」 そこに、白色の着物を着る美少女はいなかった。 「何で、逃げてんだよ! てか、消えた!?」 「ん? そこの君! 何をしている!」 あ、見つかってしまった。 深夜のことでよかった。顔も隠せながら何とか『野々村霊園』の逃亡に成功した。 しかしこれで、俺も容疑者リストに含まれてしまった。 そもそものところ。俺は彼女───玲奈について全く理解していない。どこの学校の生徒なのか、自宅は親族は人間関係は。その他諸々に彼女のことを知らない筈。そしてどうして殺されなければならなかったのかも知らない筈。 少し簡単に推理してみよう。 自殺で足を斬って死んだというのはどうだろう? それだとフォント三十以上の『ドM』 だ。     
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