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ひなきが出勤して、志摩くんが噂の出所だということを聞いた。
少し考えればこうなることは分かっていたはずなのに……あの時は必死だったからうっかりしていた。
でももう広まってしまったものは仕方がない。
噂というのは……驚くほどあっという間に周りに知れ渡る。
それは痛い程知っていた。
胸に落ちた消えない黒い染み。
油断すればどんどん広がってしまう。
今は違う。
そう頭では分かっているのに……。
そして……こんなことを考えている自分を、
思い出したくない過去のことを、
ひなきに見せようとは思わなかった。
そうやって自分から壁を作って……隣で不安げな顔をしているのも気付いていたのに……
それを……見ないフリをした……。
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