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ひなきのバイトが終わる22時前に家に帰って来た。
そろそろ時間だからメールを送ろうかと思っていた時に、電話がかかってきた。
『お疲れ様…早いな』
電話で話しながらこっちに向かっていたらしい。
マンションの前まで来た彼女を部屋に迎え入れた。
「青木さん、バイトやめるって本当ですか?」
……オーナーが話したのか?
思い詰めたような表情で、自分が原因じゃないかと話す…。
……そっか、富田の言う通り……俺は自分のことしか見てなかったんだな。
ひなきが何を思っているかも知ろうとしていなかった。
……なのに、
こんな俺に、真っ直ぐ気持ちをぶつけてくれている。
初めてバイトで会った日のことを思い出す。
そうだ、俺はひなきの一生懸命なところに惹かれたんだ。
……まだ間に合うだろうか。
ちゃんと本音でぶつかりたい。
ひなきのことだけは……嫌われても仕方ないとは思えないから。
「……これからは、もっと聞いてもいいですか?」
俺の両手を包んで、真っ直ぐ目を見て微笑んでくれる。
「青木さん、大好きです」
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