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振り向くと、そこにいたのは……
ひなきと付き合う前の彼女……例の騒動を起こした張本人。
相変わらず派手な化粧と服装で、値踏みするような視線をひなきに向けていた。
もうずっと会っていなかったし、向こうから声をかけてくることもなかったのに…。
「…もしかして彼女?そんなガキっぽい子と付き合ってるの?」
バカにしたような言い方に、隣で身を固くするのが分かる。
「関係ないだろ」
「あなたも、ゆうじって一緒にいてもつまんないでしょ?頭は固いしエッチもー」
「バカにしないで!!」
……一瞬、何が起こったのか分からなかった。
ひなきが俺の腕を掴んだまま、彼女に向かって叫んでいた。
「ゆうじは優しいし一緒にいて楽しいし最高の彼氏です!あなたが楽しくなかったのは、ゆうじに愛されてなかったからじゃないですか!?」
彼女はポカンとした表情の後……顔を真っ赤にした。
「な…何笑ってるんですか…?」
ひなきが上目遣いで小声で聞いてくる。
「いや……」
……嬉しくて……でも、腕を掴んでいる手が少し震えているのに気付いた。
愛しさが込み上げてくる。
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