第十章

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「あれから考えた。」 やっと離された腕を、別に痛くもないのに…つい痛そうに触る。 それを見た野田さんは。 「確かに、俺は自分勝手かもしれない。」 そう言いながら、優しくあたしの腕に触れた。 「朝子の言った事も、本当は分からなくはない。でも…俺は、その4日を乗り越えれば朝子に会えるって気持ちで頑張ってたんだぜ?」 「…どうして、今更そんな事言うの?」 「今更か?まだ一週間も経ってないんだぜ?どうしてそんなに別れ急ぐんだよ。」 「野田さんがカギを返すからよ。」 「おまえがもういいとか言うから。」 「あたしの不安なんて、全然分かってくれてないからよ。」 「何がそんなに不安だ?」 「何がって…そんなの…」 決まってるじゃない。 あたし達は… 「何だよ。言えよ。」 「そんなの…」 「何。」 「不倫だからに決まってるじゃない。こんな風に、いつ壊れるか分からないじゃない。あたしは野田さんの都合のいいように待ってられないし、本当は寂しかったりヤキモチ焼きだったりするのに、物分りのいいフリばかりして…」 言ってる事が支離滅裂だった。 だけど、もう止まらない。
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