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「朝子。」
ふいに、肩を抱き寄せられる。
「…園…?」
「誰だよ。紹介してくれよ。」
「こちらは?」
「はじめまして。婚約者の窪塚園です。」
「…婚約者?」
奥さんの眉間にしわ。
「何か?」
園の堂々とした態度に、奥さんは少しだけ考えて。
「どうか、お幸せに。」
いびつな笑顔を残して歩いて行った。
「どうか、って。挑戦的な言い方だな。」
園が鼻で笑いながら言った。
「…ありがと。」
「いや。」
「どうして分かったの?」
「何。」
「あの人が、野田さんの奥さんだって。」
「おまえが知らな過ぎなんだよ。二人とも雑誌にもよく出てる有名人さ。ま、二人が夫婦なんて知られてないだろうけど。」
「…そうなんだ。あたしって本当にダメね…」
「大丈夫。俺は俺のやり方で、お前を守るから。」
園はそう言って、あたしの肩にかけた手に力を入れた。
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