630人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
初めての出産だが、あたしは落ち着いていた。
もうお腹はかなり大きいが、まだ仕事をしている。
色んなことを教えてくれているような気がした。
お腹にいるこの子が。
「沢田さん、今日これだけ注文があるんだけど。」
注文票をもらう。
「わかりました。結構数ありますね。近くだし、バイトの青木君と行きます。」
スタンド花が6つにアレンジが5つ、花束が7つ。
何のお店だっけ。
注文票の住所を見る。
ライヴハウス。
この近くにできたのね。
今日はこけら落としなのかしら。
金額と希望に応じたアレンジと花束を作った。
スタンドを用意して、青木君と車で運ぶ。
「青木君、ライヴハウスとか行った事ある?」
バンの後ろから台車を降ろしてる青木君に問いかける。
「しょっちゅうですよ。今夜も行きますよ。バイト終わったら即行。」
「ここに?」
注文票をヒラヒラさせながら言うと。
「そうです。今行ったらリハとか見れるかな~。」
青木君は嬉しそうな顔で答えた。
「有名なバンドが出るの?」
「地元じゃまあまあ名前が知れてるバンドっすよ。後は東京からゲストバンドが来たり。」
「へぇ~。そうなんだ。」
注文票には、ライヴハウスの名前以外に、バンド宛ての花束とアレンジもあった。
バンドの名前は『Final Destination』
「これが地元のバンド?」
青木君に注文票の名前を見せる。
「これはゲストバンドですよ。」
「そう。人気あるのね。こんなに花束が。」
良かった。
野田さんのバンドとは名前が違う。
最初のコメントを投稿しよう!