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エレベーターに乗って、ライヴハウスのある階へ。
「ええ~。こんなにたくさん?嬉しいなあ!!」
オーナーさんが、手放しで喜ばれた。
「どこに並べますか?」
「ええと~…一階のエレベーター横に置いていいかどうか確認してきますから。あと、ここにいくつか並べて下さい。」
オーナーさんは忙しく階段をかけて行かれた。
「やった~。リハ中だ。」
青木君が防音ドアの向こうから聞こえてくる音を耳にして、はしゃいだ声をあげた 。
「青木君。嬉しいのは分かるけど、さっさと終わらせないとライヴに間に合わなくなるよ?」
「あっ、そうでした。やりますやります。」
「すいませーん。一階に2つほど…お腹大変そうですね。手伝いますよ。」
階段を駆け上がってこられたオーナーさんが、あたしのお腹を見てスタンドを手にされた。
「あ、いえ。大丈夫です。」
「いやいや!!身重な女性に力仕事は!!ちょっと待って下さいね。男手増やします!!」
「いえ、そんな…」
オーナーさんはあたしの声も聞かず、防音ドアを開けて中へ。
…いいのに。
これがあたしの仕事なのに。
中から数人男の人が出て来た。
青木君が嬉しさを隠しきれない顔をしてるとこを見ると、地元のバンドなのね。
ドクン。
お腹の子が、動いた?
ううん…
これは…あたしの鼓動。
通路に貼ってあるポスター。
野田さんが写ってる。
…Final Destinaion…
今日のバンドだ…。
どうして?バンド名も、メンバーも違う。
ノドが乾く。
鼓動が…激しく打つ。
なんて正直なの。
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