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「え…?全部…ですか?」
「そうなのよ。困ったわね…」
近くにオープンする美容院のアレンジメントが、全部却下された。
イメージに合わない、との事で。
今までそのでお店をされていた方から、後に入る店に紹介してあげると言われて。
開店準備の間にチーフさんと打ち合わせをした時は、とても気に入ってもらっていたのに…
「あたし、話を聞きに行って来ます。」
あたしがそう言うと、店長は険しい顔をして
「沢田さんに無理はさせられないわ。私と山中さんで行って来る。」
そう言って、エプロンを外した。
その時…
「ここかしら。うちの店に汚らわしい花を持って来たのは。」
…その時あたしは、自分のして来た事がどういう事なのかを知った気がした。
野田さんの奥さんが、店の入り口で…
「金輪際、うちの店に関わらないでちょうだい。」
冷たい口調で、そう言った。
「あ…あの、もしかして…『MIYABI』の…」
店長が問いかけると
「オーナーです。若い子にチャンスをと思って店を任せたら…とんだ悪い虫が関わってて驚いたわ。」
「…悪い虫…?」
新しく生まれ変わろうとしても。
過去は着いて来る。
そして、どこまでもあたしを苦しめる。
あたしが苦しめたように。
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