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次の仕事を探したかったが、もう予定日が近い。
フリーで仕事をする手もあるが、そこまでの実力を持っているわけじゃない。
アレンジメントの教室も、あの店のバックアップがあったからこそできた事。
♪♪♪
ふいに携帯が鳴る。
画面には『青木君』の名前。
「はい。」
『あ…もしもし、沢田さん?』
「うん。何?」
『ちょっと…店の近くまで出て来られるかな…』
「…どうしたの?」
『えっと…この前の女の人が…』
「……分かった。」
あたしはバスに乗って店の近くまで行った。
青木君にメールで確認すると、向かい側のビルの喫茶店に、野田さんの奥さんがいるとの事だった。
喫茶店に入ると、一番奥のテーブルに、奥さんがいた。
「……こんにちは。」
「…座れば。」
「……失礼します。」
しばらく無言だったが、奥さんが静かに話し始めた。
「…私には、子供ができなかった。」
「……」
「野田は子供が嫌いだったし、私も仕事が忙しくてそれどころじゃなくて。気が付いたら出産するには高齢と呼ばれる年になってたわ。」
奥さんはたばこを取り出そうとして…やめた。
「野田を自由にする事で、彼の信頼を得ていると思ってたわ。どこに行っても、野田は私の元に帰ってくる。見ないフリさえしていれば…」
「……」
奥さんは…
野田さんを愛してた。
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