第十一章

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「まだ生まれないんすか?」 青木君が眉間にしわを寄せた。 結局あたしは、野田さんの奥さんからの口添えで…店に戻れる事になった。 「もう少し先かなあ。」 「初産は遅れるって言うしね。」 店長があたしのお腹を触りながら 「産まれる時は、お店で教えてね~。」 そう言った。 お店のみんなは、あたしがシングルマザーになろうとしている事を知っている。 初めて、心から信用出来る人達に巡り会えた気がした。 一人の時に陣痛がおきないように、と、最近はこまめにメールや電話で様子を聞いてくれる。 …今までなら…こんな人間関係を、鬱陶しいと思ったかもしれない。 でも今は、感謝しかない。 …みんな優しい。
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