第三章

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「彼とは会ってないわ。あなたと付き合い始めてからは一度も。」 一度だけ会ったけど、寝てない事は数に入れない。 「こんな事、カッコ悪くて言えなかったけど…貯金切り崩して生活してた。」 「そう…そうなんだ…」 「亮太には全然言ってなか ったけど、あたし、離婚歴があるの。」 「……」 驚きもしない。 そうよね。 寛武に聞いてたんでしょ? 「恥ずかしい話だけど、夫をね…弟にとられたの。」 「えっ!?」 「……」 「あっ…ご、ごめん…」 今のは何? 亮太、何も知らないっていうの? 「弟は、頭が良くて何でもできて、顔もとてもきれい。女の子にもモテるのに、どうして男に走るかな。それもあたしの夫だなんて。」 「……」 「あのショックで、あたしは変わったわ。だけど亮太に出会えて、まだあたしも女として自信を持っていいんだって思えた。」 「……」 亮太は顔面蒼白。 だけどあたしは言葉を止めない。 「でも、あたし…気付いてる。亮太、今好きな子がいる んでしょ?」 「え…」 「分かりやすいなあ…もう。」 あたしは、笑う。 亮太。 自分を責めなさい。
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