第五章

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第五章

それでも、いい加減飽きてきた。 今の自分に。 ソファーに転がって、ビールをあける。 あたしは、こんな女だった? 自分に問いかけながら、数年前を思い出す。 夫の雅樹を愛する平凡な主婦だったのに。 弟の寛武に…雅樹を盗られた。 あれから? あれからなの…? あたしの人生が狂ったのは… だけど、誰かのせいにするだけ空しい。 寛武が雅樹とどうなったかも、今のあたしは興味がない。 ただ、純粋に…誰かを好きになりたい。 そんな気持ちが湧いてきた。 園に恋をした気がする。 亮太にも…した気がする。 だけど、本物にはならなかった。 「…出かけるか…」 飲みかけのビールを置いて着替えた。 タカヒロもカンナも、あれから連絡してこない。 それはそれで、どうでもいい。 夜の風は涼しくて、秋がそこまで来てる気がした。 一人で暮らし始めて、何度めの秋だろう。 そんな事も分からないぐらい、あたしはボヤボヤと暮らしている。 仕事もせず。
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