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第二章
あたしの一人暮らしが始まった。
どんなに苦しくても、生活水準は落としたくなかった。
プライドは持ったままでいたい。
どんなにそれが、哀れなプライドでも。
離婚は簡単な話し合いで決着がついた。
あたしも、今更反論したくない。
姑が一人、血圧を上げながら騒ぎ立てていたけれど…
自分の浮気が原因だと雅樹が告白して、その口は閉じられた。
…うちの両親は、あたしの憔悴しきった顔を見て、何も言わなかった。
慰謝料はいらないと突っぱねた。
それじゃ気が済まないと、雅樹は貯金を全部あたしに渡した。
だけど、それを使う気はない 。
頑固だと言われても、そのお金で生活はしたくなかった。
少なくても、あたしにも貯金はある。
「もうすぐお式ですね。」
すぐに頭を切り替えた。
あたしには仕事がある。
それに、あたしはまだ若い。
まだまだ充分やっていける。
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