第四章

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第四章

「…ポピーさん?」 カンナこと鈴木洋平は、店先に立っているあたしを見て指差した。 「沢田朝子です。」 深々と頭を下げる。 やっと、池内から沢田に戻した。 これで、少しは気分も変わるかもしれない。 昨日、携帯に登録していた番号に電話をした。 お店に行っていいですか?と。 働くとか、そういう気は…あるようなないような。 ただ、行ってみようと思っただけ。 鈴木洋平にも興味がないわけじゃないし。 カンナはFeelに載せてる写真そのままの人だった。 思ったより、背は高かったけど。 「あ…はじめまして…で、いいのかな。なんか、照れちゃうな。」 カンナはあたしの目をじっと見て。 「もう、体は大丈夫?」 小さな声でそう言った。 「…体は大丈夫です。」 「あ…ごめん。こんな事聞くの、無神経だったかな…」 「いいえ。心配してくださって…嬉しいです。」 今日のあたしは、あくまでもお店見学。 だけど、とびきり清楚に見えるオシャレをして来た。 「今日、もう少ししたら時間取れるから、良かったらお茶でもどうかな。」 「いいんですか?」 「もちろん。」 「じゃあ…」 「お店に入って休んで。」 カンナに言われるがまま、広い店内のソファーで休む。 …いいお店。 派手すぎず、地味すぎず… 置いてある花も、センスのいいものが多い。 店員は女性ばかり4人。 儲けてそうだな。
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