ぼくの夢

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 最近、都市が良く居眠りをする。  居眠り中は夢が溢れて収拾が付かなくなる。  夢が溢れると現実の境があやふやになる。  人々の夢が我が物顔で都市を跋扈する。  叶う事無く散った、誰かが妥協した夢。誰かが抱いた大志を乗せた壮大な夢。眠りの中にある誰かの夢。  夢、夢、夢。色んな夢が跋扈する。  夢とは人だ。人の意志だ。都市という巨大な夢の保管庫に貯蔵され続ける膨大な精神力(エネルギー)だ。  都市が居眠りすると、その膨大な精神力が止めどなく溢れてしまう。    ぼくは都市の“居眠り”が大好きだった。  ぼくの夢はちっぽけなものだけど、それが溢れ返った精神力と混じり合うと“夢”が叶うのだ。  寝て醒めたら夢が現実になる。  さあ、今日はどんな夢を叶えよう。昨日は悪を挫くヒーローになる夢を叶えた。  わくわくしながら瞼を落とす。  そしてぼくは目を醒ます。すると、ぼくの目の前に広がっていたのは――  ――昨日の夢の続きだ。  さぁ、今を楽しもう。  “都市”の居眠りを楽しもう。
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