8人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………」
いつものことなんだから。
それなのになんで、こんな妙な気持ちになるんだろう。
僕は自分の胸に手を当てて、ギュッと目をつぶった。
何故なら、そうしないと涙がこぼれ落ちそうだったから。
雪が止んで春が来たら。
そう聞いた時、僕は泣きそうだったんだ。
どうしてかわからないけど、今にも泣きそうに哀しかったんだ。
めちゃくちゃにキャンバスを切り裂いてやりたいほど。
北海道の地に来て知ったこと。
それは、雪は見ている分には綺麗だけど、実際その中で生活するのは大変だということだった。
たとえば学校のグラウンドを使用してする競技。
サッカー部や野球部なんかが多いんだけど、彼らは冬の最中、雪が多い日はグラウンドが使えないから、よく体育館の片隅を借りて基礎訓練やボール磨きを行っていた。
しかも、ようやく雪が止んで外にでられるようになっても、まずしなければならないのは雪かき。ちゃんとした練習が出来るのはそれからだ。
最初のコメントを投稿しよう!