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「……は?」
「バカかお前は。そんな言いかたしたって晋にわかるわけないだろ」
ゴンっと派手な音をたてて和志の頭を小突き、晴紀が申し訳なさそうに僕のほうに顔を向けた。
「実は、次の全国大会、絶対行こうって決めてんだ。オレ達」
「全国大会って、サッカーの?」
「そう。夏に本州で行われる全国少年サッカー大会。北海道代表の切符はオレ達で勝ち取ろうって」
「……それは……さすがに」
いくらなんでも無謀じゃないだろうか。
「だってさぁ、オレ達、一度も北海道から出たことない奴、多いんだ。そんなことがないと一生本州に行けなくなっちまう」
「……だからって」
水を差す気はないけど、この学校のサッカー部って、この間ようやく十一人そろったばかりだとか言ってなかったっけ。
「それでも、夢を見るのは自由だろ」
「少年よ大志を抱けってな」
「それ絶対札幌の奴らが率先して言ってるよ。その言葉はオレ達の地域のものだって」
「関係ないない」
「全国に行くのはオレ達だぁー!」
「おおー!」
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