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ずっと。
ずっと一緒にサッカーをしよう。
時には味方同士で。時には敵同士で。
それでも、たったひとつのボールを追って、ずっと一緒にサッカーをしよう。
気付くと僕の頬はまた涙に濡れていた。
「なっ、約束だ。オレ達、ずっと一緒にサッカーをするんだ」
僕は涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげて、力強く光基に向かって頷いた。
「うん。ずっと一緒にサッカーをしよう」
固く固く、約束を交わした後、僕らはそろってアパートまで戻った。
アパートでは父さんが心配げな顔でずっと僕のことを待っていてくれた。
僕は父さんに絵を返し、ごめんなさいと頭を下げる。すると、父さんはそんな僕を見て、小さな声で、お前のおかげで一段と良い絵になったろう、と笑って許してくれた。
それから三日後、僕達は四国に向けて旅立った。
向こうに着いたら絶対に住所を教えろとしつこく晴紀が言うので、僕は四国に着いた最初の晩、借りたアパートのそばの公衆電話から晴紀に電話した。
今度の学校にはサッカー部がないそうなので、隣町のサッカークラブを覗きに行こうと思ってると言ったら、晴紀は頑張れよって、でも、あんまりオレ達のライバル増やすなよって、笑いながら小さな声で言った。
そして、それから二週間後。
晴紀から僕の所に一通の手紙が届いた。
中身は小さな押し花と、みんなの寄せ書き。
花はもちろん、白い雪割草だった。
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