第一話 -雪割草-

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 ずっと。  ずっと一緒にサッカーをしよう。  時には味方同士で。時には敵同士で。  それでも、たったひとつのボールを追って、ずっと一緒にサッカーをしよう。  気付くと僕の頬はまた涙に濡れていた。 「なっ、約束だ。オレ達、ずっと一緒にサッカーをするんだ」  僕は涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげて、力強く光基に向かって頷いた。 「うん。ずっと一緒にサッカーをしよう」  固く固く、約束を交わした後、僕らはそろってアパートまで戻った。  アパートでは父さんが心配げな顔でずっと僕のことを待っていてくれた。  僕は父さんに絵を返し、ごめんなさいと頭を下げる。すると、父さんはそんな僕を見て、小さな声で、お前のおかげで一段と良い絵になったろう、と笑って許してくれた。  それから三日後、僕達は四国に向けて旅立った。  向こうに着いたら絶対に住所を教えろとしつこく晴紀が言うので、僕は四国に着いた最初の晩、借りたアパートのそばの公衆電話から晴紀に電話した。  今度の学校にはサッカー部がないそうなので、隣町のサッカークラブを覗きに行こうと思ってると言ったら、晴紀は頑張れよって、でも、あんまりオレ達のライバル増やすなよって、笑いながら小さな声で言った。  そして、それから二週間後。  晴紀から僕の所に一通の手紙が届いた。  中身は小さな押し花と、みんなの寄せ書き。  花はもちろん、白い雪割草だった。
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