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白→黒
ぼくの仕事は、きれいにすること。
聞こえはいいけど、たぶん誰もやりたがらないと思うよ。
昔はね、どこの家でもお母さんが手作りしてたけど、
今は100円ショップとかで売られている事が多いかな。
別に悲しくないよ、これも時代の流れなんだから仕方がないかなと
思っているだけ。
手作りでもそうじゃなくても最初のぼくは、真っ白なので人気者です。
みんなが楽しそうにぼくと仕事してくれる。
だけどね、ぼくの人気はそうそう長くは続かない。
悲劇は突然訪れる。誰かが牛乳をこぼした時。
この仕事をぼくがやると、たちまちみんなに嫌われてしまうんだ。
見た目は真っ白なままなんだけど、洗っても洗っても、ニオイが取れないんだ。
牛乳はみんな飲むと思うけど、あのニオイ好きな人あんまりいないよね。
特にぼくと牛乳の相性は最悪みたいで、ホント、一気に嫌われ者へ転落さ。
そこから坂を転がり落ちる様に、嫌われ人生の始まりさ。
悲しい事に、もうぼくと一緒に仕事をしてくれる人は殆どいない。
後から来たぼくより真っ白い後輩に人気が移っていく。
世代交代ってやつか。そんな言葉が頭をよぎる。
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