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嫌われ者になってからどのくらいの月日が経っただろうか…
久々にぼくの出番がやって来た。
真っ白い後輩よりもぼくが今回は選ばれたようだ。
うきうきして仕事に向かおうとしたのもつかの間、
目の前の光景に絶望した。
そこには、真っ黒い海が広がっていた。
誰かがふざけて墨汁をぶちまけたらしい。
全くなんてことしてくれんだ。
でもぼくは仕事なんで嫌な顔せずに一生懸命に取り組んだ。
もうこれで真っ白な頃のぼくに戻れなくても気にしない。
とにかくきれいにするぞ。そんな気持ちでぼくは頑張った。
ああ、ようやく終わった。
達成感の後に、救いようの無い絶望感がぼくを飲み込んだ。
ぼくはもうあの頃の真っ白なぼくに戻れない。
何度洗っても、黒いシミはなかなか落ちてくれない。
見た目も中身も真っ黒だ。
おかげで次の日からは、ますます惨めな気持ちになった。
ぼくは気がつくとトイレの仕事で呼ばれることが多くなった。
まぁ、こんな見た目だし仕方が無い。
どうせぼくには汚れ仕事がお似合いさ。
最初は嫌々引き受けたトイレ掃除だが、
終わった後なんとも言えない清々しさで、
不思議とぼくの心をきれいにしてくれるようだ。
いつの日からか、きれいになるんなら、
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