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「ははっ、ごめんごめんそんなに警戒しないでくれ。」
目の前のイケメンは少しも申し訳なさそうじゃない口調でそう言うと、僕に手を差し出した。
「では改めて、この学園の理事長をしている鈴ノ宮悠成です。宜しくね、橘くん。」
「りっ、、!!っあ、いえ、はじめまして、こちらこそ、宜しくお願いします、、、?」
「、、、うん、早く馴染めるといいね!」
ん?何か変な間があった気が、、、
まあいいか。
「はい!」
「いい返事だね。さて、本題に入るが、橘くんはこの学園についてどれくらい知ってるかな?」
「??えっと、全寮制の男子校で、私立で、、、えーと、、、」
「まあ、それくらいだよね。」
そう言って笑った理事長の眉は少し下がっていた。
「、、、この学園はね、少し、いや相当かもしれないが、、、おかしいんだ」
「おかしい、、、?あっ、施設の造りがですか?」
たしかに少し華美が過ぎる建物だと思っていた僕がそう尋ねると、困ったような目を向けた理事長が不思議なことを口にした。
「いや、この学園の関係者、、、教師や生徒を含め全体での、嗜好、についてなんだけどね。」
「しこう、、、好みってことですか?」
「そう。幼い頃から限られた人間関係の中で暮らした者が多いせいで、全体の8割は男性に好意を抱きやすい人間なんだ」
「、、、男性に??」
、、、ここは男子校では?
「ゲイが多いってことだね。所謂性的な嗜好のことだよ。橘くんは可愛らしいから、もう少し警戒心を持っていた方がいい」
「そ、うなんですね、、、?」
「おや、思ったより反応が薄いね?」
僕が複雑な気持ちでいると、理事長が不思議そうに顔を覗き込んできた。
というよりそもそも、、、
「僕、そういうのよくわからなくて、、、」
「?そういうのって、ゲイが?」
「ゲイが、というか、、、恋愛とか全然したことないし、意識したこともなくて、、、」
「ああ、なるほど」
理事長は合点がいったと言うように頷いていた。
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