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指を差された青年は,鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして,首を傾げた。
「『ユースケ君』って誰?」
…あっ,やべぇ。いきなりやってもーた。わたし,怪しいと思われた?
「あー,えーっとうーんと…。コレですっ」
まだキョトンとしたままで首を傾げている彼に,唯は自分のスマホの画像を見せる。大好きなユースケ君の画像を。
「これかぁ。…オレ,そんなに似てるかなぁ?」
「似てますよぉ。シャープな顎のラインとか,涼やかな目元とか」
唯のスマホを手に,また首を傾げた彼に唯が言うと,トドメの一撃を食らった。
「つーかオレ,『ユースケ』って名前じゃねえし」
…はぅっ!そういえば名前,まだ聞いてなかったよ。
「オレの名前は,谷口浩介。早稲田大学の一回生」
そう言って,浩介は唯にスマホを返す。
名前,一字違いじゃんか。コレって,やっぱし運命?
唯のお目々がキラキラ輝いた。
「あっ,先ほどは失礼しました。ワタクシ,阿佐間唯と申しますっ」
唯は学生証を見せる。名刺みたいに,両手で持って。
「私立茗桜女子学院…?マジで?」
浩介は学校名は知っているみたいだが,目の前にいる唯とはイコールで結べないらしい。
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