その人は突然に。

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「ハイ☆あの篠沢絢乃さんとわたしは,同級生なんですよぉ。…制服見て分かりませんでした?」 学校イチの有名人の名前を出して言いながら,唯はスカートの裾をヒラヒラさせた。 「いや,学校の名前も制服も知ってたけど。オレは,君が高三だってことにビックリ」 ゴーン…。妄想の中で,唯の頭の上からタライが落ちてきた。 わたし,そんなにお子ちゃまですか!?そりゃあ,絢乃さんには遠く及ばないけど。 大ショックを受けて落ち込んでいる唯を慰めるように,浩介は声をかけた。 「ホンっトにゴメンな。悪気はなかったんだよ。…唯ちゃんだっけ?今日,時間ある?何か飲みに行こうか。オレのおごりで」 「えっ?」 「さっきぶつかっちゃったお詫びと,君を落ち込ませちゃったお詫びに。…どうかな?」 えっ!?こんなイケメン王子さまとお茶!ユースケ君じゃなかったけど。 唯は再び,お目々キラキラモードになって頷いた。 「ハイっ!もちろん,喜んで☆」 唯は関西人ではないが,今度は心の中で関西弁で呟いた。 この人,やっぱし王子さまや…☆
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