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「運命を信じてみない?」
彼女はそう言った。
高校の卒業式。
友人との別れや学校生活を思い出し涙を流している同級生たちの中で、俺と彼女はドライな瞳でロマンチックなことを話していた。
「今日お別れした後、連絡は一切なし」
「偶然再会するまでってことか?」
「偶然じゃないわよ。運命に導かれない限り再会はなし」
「俺たちの間に運命がなければ再会はなし?」
「そうよ。それが運命でしょ」
携帯片手に、また連絡を取り合おうと言っている同級生たちの中で、俺たちは互いの連絡先を削除した。
「じゃ、これで、さよならね」
「ああ、これで、さよならだな」
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