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彼女と俺の出会い
彼女と俺は高三になって初めて同じクラスになり隣同士になった。
彼女は窓際の一番後ろの席で、俺はその隣。
二人とも誰かとつるむタイプではなかったので、休憩時間になると席から動かない彼女と俺は自然と二人きりになった。
「友達いないの?」
「人のこと言えないだろ」
「私は話す相手くらいならいるわよ。でも、無理に誰かといようとは思わない」
「俺もだよ」
「寂しくないの?」
「だから、人のこと言えないだろ」
「友達になってあげようか?」
「上から言うなよ。同類なのに」
「私と友達になるの嫌?」
「別に、嫌じゃない」
「そ、良かった」
「彼氏いるの?」
「いたら、どうなの?」
「嫉妬されるのは嫌なんだ」
「自信過剰」
「だって、誤解されたら面倒だろ」
「それも自信過剰」
「お前だって」
「お前ねえ・・・」
「友達だからいいだろ?」
「まあ、いいわ」
「お前だって、もし俺に彼女がいたら嫉妬されたくないだろ?」
「もしってことは彼女いないのね」
「ああ、いないよ」
「私も彼氏いない」
「じゃあ、お互い安心だな」
「好きな人は?」
「いない」
「私も」
「・・・」
「何?」
「傍から見れば俺たち、寂しい人間なんだろうな」
「でしょうね。世間様では、いわゆる青春してなきゃ若者じゃないから」
「じゃあ、俺たちは何者なんだろ」
「何者でもないわよ」
「恋したことある?」
「ない」
「俺も」
「この世には二種類の人間がいるのよ。恋愛が必要な人間と、必要な時に恋愛する人間。大半は前者で私たちは後者。前者の人は恋愛相手に喜怒哀楽、幸せを得たくて、いつも運命的な出会いを求めてる。でもホントはみんな運命なんか信じてないのよ。どこにいたって一人でいたって誰かと繋がろうとするんだもん。そんな人に運命なんか訪れないわよ」
友達になった彼女と俺は、傍から見れば付き合っていると思われた。
付き合ってないと答えると、似たもの同士なんだから付き合っちゃえよ!と言われた。
誰かと、いつもくっついているヤツは、他人も誰かとくっつけたがる。なんでだ?
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