彼女に聞きたい俺

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彼女に聞きたい俺

会社の同僚には、結婚して子どもがいるヤツがいる。 そいつのことを男として一人前だと上司は言った。 そんな上司にとって独身の俺は、同僚と同じ仕事をしていても半人前ということだ。 子どもの写真を励みに仕事をする同僚は、すごくがんばっていると思われる。 なんの励みもなく仕事をする俺は当たり前だと思われる。 「結婚は人の体裁を見栄えよくするものなのよ」 彼女なら、そう言いそうだ。 いや、もしかしたら、彼女も結婚しているかもしれない。 だとしたら俺に勧めるだろうか? 「結婚はいいものよ」と・・・。 休日は買いたいものがなくても外に出て賑やかな繁華街を歩いた。 女性の固有名詞であるウィンドウショッピングをするのが日課のようになってしまったのだ。 別に服や雑貨が好きというわけではない。 店で働く人を見るのが好きなのだ。 威勢よく客寄せをする店主がいるかと思えば、店の奥に引っ込んで商品は大丈夫なのかと心配させる店主もいる。 俺が好きな店主は、まるで自分も商品の一部になっているような人だ。 商品に愛情を持っているとかではなく、いかに商品と融合出来ているか・・・願わくば俺も、そんな店主になってみたい。
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