彼女に聞きたい俺

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いつからだろう・・・会社に行くのが苦痛になって来た俺は、根性がなく情けないヤツだと毎日自分を罵り責めた。 そんなだから出勤時は最悪の気分で会社に向かっていた。 気分が重ければ身体も重い・・・だから休日になっても外出はしなかった。 こんな時こそ気分転換にウィンドウショッピングをすればいいのだろうが、そんな余力はなかった。 ただひたすら眠り続け、出勤の朝には、重い身体を起こせず布団から這い出る。 会社に電話をかけて休もうか・・・背広に着替えながら何度も頭の中で繰り返されるフレーズ。 でも実行は出来ない。 上司や先輩、同僚に迷惑をかけてしまう。 俺の代わりなんていくらでもいるだろうが、順調に仕事を運ばせるには昨日今日入って来た人間には無理だ。 俺が行かないと・・・そうやって、なんとか一週間を乗り越える。 会社の何が嫌なんだと俺のことを理解してくれる人は少ないだろう。 俺だって理解出来ないんだ。 働かなければ生きていけないのに・・・こんな時、彼女なら、なんて声をかけてくれるだろう? 元気出して。 甘ったれるな! それでも男なの! もっと強くなりなさいよ! 聞いてみたいな・・・今の俺を見て、彼女がなんて言うか。 とうとう会社を休んでしまった・・・。 布団から這い出たもののパジャマを脱ぐ気にはまるでならなかった。 熱もないし、どこも痛くないのに、これじゃあ完璧サボリだな・・・。 俺の心は罪悪感でいっぱいだった。 このままだと罪悪感で押し潰されそうな気がした。 そこで俺は気分転換にパソコンを開き、ネットの中でウィンドウショッピングを始めた。 色んな店のホームページを覗き、どんな商品を扱っているのかザッと見た後、店主を探すがほとんど掲載されていない。 「どこも商品を全面に出すだけで、店主の顔が見えない・・・」 つまらないな、と瞼が重くなり目を閉じかけては、なんとか目を開けて無理にでも気分転換をしようと検索し続けていると、あるカフェを見つけた。 そのカフェは一人席しかなく、カウンターと窓際に席が並んでいるだけ。 隣とはイス一個分の間隔が空いていて、これだと他人と並んでも窮屈さを感じないし気遣いもいらないだろう。 店主はどんな人か分からなかったが、無性に行きたくなった俺は会社をサボっているにも関わらず素早く私服に着替え家から飛び出した。
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