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階段の踊り場で目覚めたら、25年後の世界だった。
『2019年』という響きがSF映画のタイトルのようだと思ったけれど、自分自身がSF映画のような体験をしてしまうとは……。
戸惑ってばかりもいられない。
まずは、目覚めるまでの記憶をたどろう。
「手がかりを、探さなくちゃ」
町へ繰り出そうとマリカは駆け出す。
……が、数メートル先で息を切らした。
呼吸を整え、再び歩き出そうとする。
……が、思うように足が上がらない。
心は25歳のままのマリカは、50歳の肉体が想像以上に自由にならないことを思い知る。
「どうなってんのよ!」
苛立ちをぶつけても、見慣れぬ景色は何も変わらなかった。
━━失われた25年間は、どこへ?
そして……。
「母さんは、どうしてるんだろう?」
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