病院での出会い

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私が落ち着くと、お母様は私を友也の部屋に案内してくれた。 「友也、入院中に日記つけてたのよ。今時、手書きなんてと私も思ったけど、脳腫瘍が右手の動きにも影響を与えていたから、リハビリも兼ねて・・ あなたに読んで欲しくって・・」 その日記は入院初日から始まっていた。 最初は、苦痛、怒り、不安に綴られていた日記がある時から大きな変化を見せていた。 それは・・ 「今日も、あの子はベンチに座っていた。声を掛けようと、もう3日もグズグズしている。本当に、意気地無しな俺・・」 「やった、声をかけたぞ。名前も聞いた。高橋真里。友達になった。でも心臓病だって。苦しんでいるのは俺だけじゃ無いんだ」 「彼女を見ていると元気が出てくる。俺も手術の決断をしなくちゃいけないな。元気になって、彼女も元気になって、一緒にデートするのが夢だ」 「真里が倒れた。深刻な状況だと聞いた。手術まで毎日お見舞いに行こう」 「もう心臓移植しか真里を助ける手段は無いと真里の母さんが泣いていた。俺の手術も明日だ。成功率は五分五分どころか20%未満だって知っている。手術が失敗した時は、真里に俺の心臓を使って欲しい。もし手術が失敗しても真里が元気になるなら・・」 「今から、手術だ・・ 臓器移植の同意をした。そして、心臓はまず、真里との適合を確認する依頼を先生にした。これで心置きなく手術に行ける。成功も失敗もそれは運命だから」 「二人とも死んでしまうのか? 俺だけ生き残るのか? 真里が俺の心臓で生き残るのか? この3つ選択肢なら、真里が生き残るオプションが望みだ。それが自分の命より大事なのは、とても変な気持ちだけど、これが本当に素直な想いだ。だって結局、二人で居られる唯一の選択肢だから・・」 日記を読みながら頬を伝う涙が止まらなかった。 私の命を救い、普通の日常生活をくれた友也に本当に感謝した。 そして彼の最期の想いが実現できていた事にも感謝した。 私は、もう一度、左胸を押さえて友也の心臓の音を確かめた。 「そうだね、友也。この結果は”さよなら“じゃなかった。これからはいつも一緒だね・・」 私は左胸の奥に居る友也の存在を感じていた。 FIN
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