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病院での出会い
私は高橋真里、17歳。
少し前までは普通の女子高生ですって自己紹介してたけど、今は普通って言えないかな・・。
私は小さい頃から心臓の持病を抱えていた。
拡張型心筋症。
今まで内科的治療で病状の進行を抑えて、普通に学校に通っていたんだけど、2週間前に学校で倒れて緊急入院してからは、ずっと病院で暮らしている。
主治医の田中先生は子供の頃からずっと診てくれていた方で とても仲良しだけど、病室に来ても私の状況について あまり詳しく説明してくれず、私なりに病状はあまり良く無いんだろうなっと思っていた。
そして今日、両親と田中先生の診察室に行き、私の病状の説明を受けた。
「拡張型心筋症が大きく進んでいる。残念ながらこれまでβブロッカーやアンギオテンシンII阻害剤で抑えていた進行を止められなくなっている。真里君の心臓はあと1年持たない可能性が高い」
「まずは心臓の負担を抑える為、入院を継続して安静を保つこと。そして時期を見て、埋め込み型の人工心臓の手術をさせて欲しい。その間に心臓移植のドナーが現れるのを待つ事になる」
田中先生は真剣な眼差しで、でも私にも分かり易く説明してくれた。
横で母が涙を流している。
父も大きく目を見開いている。
私は思いの外、冷静だった。
「先生、説明してくれてありがとう。でも私は余命宣告を受けたんじゃないわよね。だから、まだ充分希望があると言ってくれたと思っている。これからも治療を頑張るからサポートをお願いします」
私は田中先生に頭を下げた。
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