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「ねえ、先輩?」
美紀ちゃん、私は傷心中なの。
いい年して、いじけてるの。
でもいじける権利は誰にだってあると思わない?
だって、誕生日なのに。
久しぶりに会えると思ったのに。
「先輩、起きてくださいよぉ!」
ちょっと、美紀ちゃん。
私、傷心中なんだから優しくしてよ。
そうじゃないと、午後のお仕事手伝ってあげないから。
パワハラって言われてもいいもん。
先輩の権力振りかざすもん。
「せーんぱいってばぁ!」
痺れを切らしたのか、美紀ちゃんが私を強くゆする。
手加減を知らないこの子は、先輩の私をバシバシと叩きだした。
「んもう! なによぉ」
「んもうってこっちのセリフですよ。ほら、愛しの彼が来てますよ」
「え!?」
「二階堂さん、今日も素敵ですね」
美紀ちゃんが指さした先、優雅に微笑む彼が立っていて、私の心臓はドクンって大きな音を立てた。
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