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「抜いたの?なんでまた」
敬吾はおかしそうに笑っているが、とろりと落ちた瞼と真っ赤に熱を持った唇が歪むさまはまるで娼婦だ。
汚れた指を舐めて見せたりなどするから、尚更。
それがあまりに目に毒で、逸は手のひらを拭いてやる。
「……めちゃめちゃ早かったらやじゃないですか」
「効果は?」
「ありましたよ!じゃなかったらチューだけでいってますから俺!!」
「なにを堂々と……」
大人しく手を拭かれながら敬吾が笑うと、逸は頬を膨らませた。
「敬吾さんだって一気にイったらやばいって言ってたじゃん。」
「……!!」
「……二ヶ月以上も敬吾さんに触れなかったのなんか初めてですもん……」
「ーーぅ、」
「毎日破裂しそうでした、ーーもう、ほんっと……」
項を撫でられ、頭を抱き寄せられて、耳に逸の唇が触れる。
その堪えているような吐息が物語っていた。
いかに触れたくて、抱き締めたくて、口づけたかったか。
狂おしい渇望が伝わってきて敬吾は切なく眉根を寄せる。
「……ほんと相変わらずだなお前は……」
そして、どうしてそこまで?と思う自分も変わらない。
だが、根拠はともかく満たしてやることができるなら、いくらでも食わせてやりたい、悦ばせてやりたいと思うのはーー少しは進歩したからか。
少し顰められているであろう逸の顔を思ってその頭を撫でてやり、敬吾は少し笑う。
「ーー四日あるから。」
「ーーーーーー」
「いっぱいしよ……」
「ーーーーー!」
優しい、だが間違いなく欲に濡れているその声に、逸は猛獣のように敬吾を押し伏せていた。
敬吾は一瞬だけ驚いたようだったがまた優しく笑い、逸の頬に手を伸ばす。
「……別に」
唇をそっと撫でられた逸は、それこそ手負いの獣のようだった。
電流でも流れたように、表情は獰猛なまま、見開いた瞳がびくりと顰められる。
「出掛けなくてもいいよ俺………」
「っーーーーー」
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