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「そうです。今の部屋のどっちかに住んでもいいですけど……さすがに狭いでしょ」
ーーそれはそうか。
人はどちらかにいるとは言え、それぞれの服だのなんだのは両方の部屋に散っているのだ。
本格的に一部屋に寄せては溢れてしまう。
「……うん、じゃあーー」
「部屋探し、ですね………」
嬉しげに掠れた声が敬吾の耳を擽った。
そこだけ春でも来たかのような、こちらが恥ずかしくなるような声だった。
敬吾は何も言えなくなってしまうが逸はお構いなしーーと言うか気づいていもいない。
「条件、何かあります?」
「んー……、風呂でかいとこがいい」
「あはは、はい」
「お前は」
「んー、やっぱ日当たりですかね」
「まあなあ」
「あとはー、台所の……」
やはりそれは大事なのかと敬吾が半ば感心する。
「……換気扇に頭がぶつかんないとこがいい……」
「……そういや昨日ぶつけまくってたな。」
息子さんを僕にください おわり
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