息子さんを僕に下さい

25/25
2965人が本棚に入れています
本棚に追加
/393ページ
「そうです。今の部屋のどっちかに住んでもいいですけど……さすがに狭いでしょ」 ーーそれはそうか。 人はどちらかにいるとは言え、それぞれの服だのなんだのは両方の部屋に散っているのだ。 本格的に一部屋に寄せては溢れてしまう。 「……うん、じゃあーー」 「部屋探し、ですね………」 嬉しげに掠れた声が敬吾の耳を擽った。 そこだけ春でも来たかのような、こちらが恥ずかしくなるような声だった。 敬吾は何も言えなくなってしまうが逸はお構いなしーーと言うか気づいていもいない。 「条件、何かあります?」 「んー……、風呂でかいとこがいい」 「あはは、はい」 「お前は」 「んー、やっぱ日当たりですかね」 「まあなあ」 「あとはー、台所の……」 やはりそれは大事なのかと敬吾が半ば感心する。 「……換気扇に頭がぶつかんないとこがいい……」 「……そういや昨日ぶつけまくってたな。」 息子さんを僕にください おわり
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!