呼ぶ家風

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「そーそーゆっくりどよ!まー敬ちゃん上手だごど」 「うち実家が結構雪降るとこだからねー、でも久しぶりだから全然……」 「あーまだ切んないのよ!踏まねずど滑っから」 「うん?」 「カーブはがっちりど落どしてがら、曲がんのはアクセルこ踏みながらよー」 「あー、なるほど」 「だども急に踏むど埋まっからね」 「はい」 シヅ講習はなかなかどうして理論的で、かつ慎重で繊細な内容だった。 雪道で事故が多いのは、技術不足もだが慢心と自己流の癖がついた運転、心の余裕のなさが原因なのだなと気付かされる。 「なーんだが今の車づのは勝手に馳せだり止まったりしてよ、バアおっかねの」 「あー、俺もそうだなぁ」 「んだーべ!?こないだ代車で走ったっけロックかがったんだがなんだがブルブルどしてがらおっかねおっかね」 「あはは!」 シヅが助手席で「ブルブル」を真似して見せるので敬吾は爆笑する。敬吾からひと笑い取って満足したのか、シヅが「さて」と言った。 「んでばそろそろ帰っぺが。小池商店で正月もやるってだがアイス買ってぐべし」 「うん、──あ」 そう言ってシヅが取り出したのは逸と敬吾が贈ったポーチだ。 「使ってくれてたんだ」 「使ってだよー、使ってましたよー!お気に入りなのす」 「ふふ」 小池商店までの道はさすがに私有地ではないのでドライバーは「交換こ」となった。
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