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心節
「へー、おめでとう………………
……え?今更?」
「ほらな」
「………………」
至極不思議そうな後藤と呆れきったような敬吾に見据えられ、逸は「せっかく報告してんのになんすか」とわざとらしくむくれてみせた。
「いやだって、とっくだと思ってたんだもん……むしろ今まで何してたのってレベルだよな。あんだけプロポーズ乱発しといて」
「な。」
「乱っ………」
逸は改めて、口の軽い酔っ払った自分を殴打したくなる。
まあその一発一発が与太話と片付けられないほど真に迫ってはいたがーーと思いつつ、悶えている逸が面白いので後藤は言わずに放っておいた。
「んじゃどっちか名字変わるんだ、呼び方岩井くんじゃまずい?」
「いや?養子縁組とかではないんで……」
「つーか、それに関しては俺もずっと岩居だったぞ」
呆れたように敬吾に言われ、それもそうかと頷いた後後藤は首をひねる。
「え、じゃあ今までと何が違うの」
それは、逸にすれば天変地異さながらの大変化だ。
なんの憚りもなく敬吾を自分の伴侶と思っていられるのだから。
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