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一回目、ソレは息する間もなく、死に絶えてしまったようだった。
透明な培養液が、赤黒く濁っていた。仕方なく、ダメになってしまった培養液を濾過装置を通して排出する。隣の排出槽に、濾されて透明になった培養液が溜まる。その上部に備え付けられているフィルター部分には、赤黒くブヨブヨとした物体が溜まっていた。
培養液の成分調整を誤ったのだろうか、と赤黒くブヨブヨとした物体に触れながらワタシは思う。
今まで全てのことは正確に遂行してきたが、コレばかりは上手くいかないようだ。
やはり、ルーティンから外れた行動をすべきでは、ないのかも知れない。
赤黒くブヨブヨとした物体はそのままに、ルーティンをこなすためにワタシは外に出る。
ワタシの家を中心に建てられた、保全ドームの安全確認を行う。
まずは天井を見上げ、人工光を照射している装置に焦点を合わせる。光量・波長ともに問題ナシ。時刻と天候通り、午前九時の快晴時の光が降り注いでいる。
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