2人が本棚に入れています
本棚に追加
●廃病院-怜
大の遺体を持ち上げる信長。それをどうにかして話そうと近づくも、イブが俺の体を掴み離さない。
「どけ!てめぇらはこれ以上、俺たちになにを求めてんだ!もういいだろ!やめろ!」
「興奮するなよ。黙ってろ。」
イブが俺を冷たくあしらう。
もうこれ以上の怒りはこみ上げない。それほどまでにピークに達している。必ず殺す。何があってもこいつらを殺す。思いが溢れ返り止まらない。
そんな中俺の耳に微かに馴染みある声が聞こえて気がした。気のせいなのか。それでも反応してしまう俺はピタリと止まり目を見開く。
「‥‥なんだ?」
気づくとユリも動きを止め動揺しているような表情を浮かべていた。対照的になぜか信長は安堵の表情を浮かべている。今まで見た中で一番優しい表情だ。
訳がわからず全員が動きを止めていると、今度こそ確かに聞こえてきた。あの声が。
「大を‥‥離せ‥‥。」
気づくと勝手に涙が溢れだしていた。現状を理解できてはいないが、この気持ちは間違いなく安堵。そしてそれに対しての涙だ。
その光景を見て俺は嗚咽交じりに問いかけた。
「お前‥‥なんで‥‥なんで‥‥。」
「‥‥大を‥‥離せ」
「なんで生きてんだよ‥‥
‥‥政宗ぇ‥‥」
最初のコメントを投稿しよう!