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●廃病院屋上-怜
イブの衝撃的な言葉に唖然とした。どういう事だ?追い詰められた故の嘘なのか。いや現に政宗はかなり辛そうではあるが、こうして生きている。
「バカにしてんのか?お前の事だ、また俺たちをおちょくって楽しんでんだろ。」
「イブが言ってることは嘘じゃねぇ。俺の予想では金城大が一番最初に息を吹き返すと思って起き上がらせたが、案外二番目だったみてぇだな。」
信長がそういい大を指差す。その先には倒れた大がいた。そして大の胸がわずかながらに動いている気がする。いや、気のせいではない。確かに、確かに大は動いていた。
ユリもそれに気づいたのか、俺が抱きかかえる政宗を代わりに持ち上げる。政宗をユリに任せ急いで大の元へ駆け寄った。
「大!おい大!」
「ちなみに補足すると金城大も指宿政宗も疲労しているだけで外傷はないよ。創造世界は現実であって現実ではない。体験したことは全て真実だから疲れは精神的なところからきてるけど、外部的な部分への影響は無いに等しい。すぐに普通に動けるようになるよ。‥‥2人だけじゃなく他のみんなもね。」
その説明を聞き、すぐさま周りを見渡した。するとクラスメートの仲間たち、後から創造世界にきた鈴達も微かに動き始めていたのだ。
信じられない。だが信じる信じないはどうだっていい。現実的に仲間達が動き出しているのだ。これほどまでに人生で嬉しいことはないだろう。
ど同時にもちろん疑問も生まれている。
「なぜ始めからそう言わなかった。」
「どうせ死なないぐらいの気持ちで行かれても困るからね。どちらにしろクリエイターを殺さない限りには人類は滅亡してた。人類全員を活かすために君たちを送り込んだんだ。君たちを犠牲にしたことには変わりはないよ。それに‥‥。」
イブはそこで言葉を止め、初めて表情を変えた。悲しい表情というべきか、なんとも言えない暗い表情だ。その顔が俺の不安を煽ると、千秋に寄り添っていたユリが焦ったように言葉をだす。
「ねぇ、ちーちゃん心臓動いてないよ!?」
「え?」
俺は慌てて千秋の元へ駆け寄る。ユリが必死に千秋に呼びかけるのを押しのけ、俺は千秋の心臓を確かめた。
確かに、動いていない。先ほどのイブの言葉とは矛盾している現状に焦りを抱えていると、またイブが話し始めた。
「三蔵千秋、一寸陸矢、それに花咲一郎は確かに死んでる。もう生き返ることはない。」
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