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「そんな‥‥嘘だろ?なんで‥‥」
俺もユリも放心状態だった。むしろ先ほどの死なないという言葉により、まだ望みをかけている俺がいたが、そんな望みは次のイブの説明により儚く打ち砕かれる。
「花咲一郎はそもそも現実世界の人間じゃないからね。つまり花咲一郎にとっての現実世界は創造世界だ。そこで死ねば勿論死ぬ。‥‥そして残りの2人も似たような理由だよ。」
「は?2人が創造世界の人間とでも‥‥。」
「そうじゃない。2人は間違いなく現実世界の人間だよ。だけど2人は現実世界で死んだんだ。‥‥もっとわかりやすく言えば、2人は創造世界では死んでない。創造世界で唯一僕が後付けで作った場所『天空の監獄』で死んだんだ。」
言っていることのほとんどが理解できない。確かに千秋、陸矢は天空の監獄の爆発以降行方不明だ。最悪なことを想像すれば爆発で死んだ可能性も高いだろう。
そこまではなんとか理解できるが、それ以上の事は理解出来ずに頭が真っ白だ。イブは理解の追いついていない俺に更に説明を始める。
「クリエイターが何故あそこまで天空の監獄で君たち相手に苦労してたか分かるか?天空の監獄はクリエイターが作っていないから、そこにいる人間は全てクリエイターが関与できない。つまり天空の監獄は現実世界と同じ扱いという事だ。」
「そんな、そんな説明で納得するか!」
そう怒鳴りイブに食ってかかるが、それを止めたのは意外な人物だ。ユリだった。
ユリは大量に溢れている涙をぬぐい深呼吸をする。俺は息を荒げながらユリの顔を見ると、ユリは落ち着いた声で言葉を出した。
「まだ分からないですよね?だって死ななければ現実世界に戻ってこれないって事でしょ?だったらちーちゃんはまだ死んでないだけですよね?」
「その可能性は限りなく低いよ。クリエイターが死んだら大規模な爆発が起きるからね。作られたクローン人間が全員死ぬように。」
「ゼロじゃないですよ。ちーちゃんは生きてる!陸矢さんだって一郎さんだって、みんな生きてる!そうですよね?」
そう言い俺の顔を見つめるユリ。明らかに強がりだ。ユリにも千秋達が死んでしまったという思いはあるはず。いや、無いのか?
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